日本の企業では、外国人社員にコミュ力を求めるそうです。でも、日本人の中にコミュ力のある人などいますか?「わたしはコミュ力がある」と自信を持っていえる人はいないと思います。マナー講師は、セミナー中のコミュ力はありますが、仕事を終え、家に戻ったあと、ご主人や子ども、親に対して、お客様さまへの対応と同じようにコミュ力を発揮できますか。たぶんいまの日本人は、コミュ力がありそうな雰囲気を出すのはうまいかもしれません。昔話に出てくるやさしい若者は、親に尽くし、殿様みたいな主人に尽くし、家族にも近所の人たちにも子どもにもお年寄りにもやさしく接していましたが、あんなスーパーマンは、いま、いますか。
わたしは外国人学生に、こんなトレーニングをしています。上司に怒られたら、瞬時に立ち上がり「すみません。次は必ずしっかりやります」と言って、しばらく頭を下げます。すると、20秒で嫌な時間が過ぎ去ります。パワハラ上司の言葉尻、揚げ足取りをして反撃したり、ちょっとでも不満そうな表情を見せたりしたら、パワハラ上司の怒りが止まらなくなります。30分も無駄にします。パワハラ上司は、部下の不満顔を見て説教し続けたいという欲望を満たすため、マウントをとったり、いじわるをしたり、嫌味を言ったりすのですから、「いつもありがとうございます。これからも勉強させてください」と言って、頭をさげておけば良いのです。コミュ力のないパワハラ上司には、真心を使って対応する必要などありません。
式典の第二部、母校の後輩たちがダンスを披露してくれたり、合唱、合奏、演劇で会場を盛り上げてくれました。大ホールはたいへん盛り上がりましたが、前から三列の来賓、関係者の偉そうなジジイだけは、無表情のまま座っていました。たぶん「忙しい中、来てやってんだよ。学生の発表見て、表情作ってられっかよ」というのが本音かもしれません。
講演会では、「あなたの親も先生もコミュ力がない。偉そうなジジイも、わたしも、来賓も、日本人は全員コミュ力がない」と言って、議員も先生もぶった斬ってしまいました。高校生たちは大喜びでしたが。自分はちゃんとできないくせに、外国人には不満顔も許さず従わせようとしていることを自覚して、それをやめ、自分たちは昔話に出てくるようなやさしい若者にならなきゃ、外国人が喜んで日本にきて、働いてくれないと思います。
経済学者が言います。30年後の日本の経済は出生率を見れば容易に想像がつきます。日本はもう30年もあぐらをかいてきたのだから、もうそろそろ正座して、背筋をピンと伸ばしても良い頃だと思います。
夜は久しぶりに野球部時代の監督に会いました。