イベント情報

アクティブリコール、間隔反復

先学期は朝5時から息子の勉強のサポートをするのをやめて、なんと、勉強をしていた息子の隣で、わたしはスマホゲームをしていました。4ヶ月間そんな生活をして、もし息子の成績が下がったら、9月からまた頑張れば良いか…などと思っていたのですが、結果、まったく変化なしで、勉強のやり方を覚え、勉強する習慣を身につけたあとは、もう勝手にやるだけなのですね…。
とりあえず、息子が最近やっていた勉強の方法をご紹介します。YouTubeでご活躍の内科専門医の安川康介先生お勧めの勉強方法で、ひとつはアクティブリコール、もう一つは間隔反復です。
アクティブリコールを簡単に言えば、学んだ内容を思い出す作業で、アウトプットこそ最大のインプットだということです。わたしの授業では最後の時間帯に、学生たちに「本日の授業で一番印象に残ったこと!」について発表してもらっていますが、これは日本語の文法の授業をはじめ、国語算数理科社会などすべての授業で使えます。テレビ番組でも最後におさらいをするコーナーがありますが、まさに、あれです。わたしの学生には思い出す作業プラスアルファとして、それを選んだ理由とそれに関連する自分のエピソードを話してもらっています。『型』を使って話すので、話があちこち跳びませんから、聞き手も安心しながら聞くことができます。
もう一つは間隔反復で、習ったことを3日後だったり1週間後だったりするのですが、連続的再学習をすると、記憶の定着率が遥かに高まるので、『寿限無』も『坊ちゃん』の冒頭も、クラス全員が簡単に暗唱できます。2年生の娘も、知らず知らずのうちに学校から配られた詩集を、先学期は一冊丸暗記できました。
安川先生のお話によると、アクティブリコールで勉強した学生たちは、自分たちがやった勉強方法をあまり評価していなくて、テストをしても大して良い成績にはならないだろうと予想してたそうですが、結果、いくつかのパターンの中でもっとも高い点数をとり、もっとも効果のある学習方法だということがわかりました。周りからは、遊んでいて、頑張っていないように思われてしまうのが玉に瑕ですが、確実に効果が期待できる学習方法です。
実は、この学習方法は、わたしが日本語教師になったばかりの頃、清華大学の教え子たちに教えてもらっていたやり方で、実際にわたしの授業に取り入れていました。テーマが面白くてもつまらなくても、討論は必ず盛り上がりましたし、知らず知らずのうちにアウトプット量が多くなり、知らず知らずのうちにインプットの量もとんでもない量になるので、教え子たちは、知らずの知らずのうちに信じられないほど上達していました。
ただ、当時は厳しい指導を理想としていた他校からは、わたしも教え子たちも良く思われていなかった部分があったことは否めません。しかし、その後、厳しい指導で伸びなかった他校の学生たちがこっそりわたしのところでトレーニングを受けて、手足や声の震えが止まり、伸び伸びと自分を表現していました。
最近はYouTubeをはじめ、より良い学習方法が、世間にどんどん広められてきています。ですから、昔ながらの授業スタイルをいますぐやめて、効果的な学習方法を授業に取り入れてもらいたいです。教師の負担が激減しますし、無駄な残業もなくなります。教案作りに時間をかける必要もなくなり、目に見える成果がばっちり出せるようになります。授業スタイルを変えることで、学校の教員不足の問題も一気に解決できます。授業スタイルの変更は、日本語教育だけの問題ではないと思います。

シェアする