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日本語スピーチ協会のホームページ

「4回転を4本成功させて、ジャンプもすべて着氷をノーミスで決めれば、金メダルは間違いなしだ」と頭で整理できたとしても、フィギュアスケートの素人のわたしが4回転を飛べるはずがないことは、誰でも理解できます。

教務主任が担当講師に「学生たちにやる気を出してもらうため、まずは教室の雰囲気を良くしましょう」と話すのですが、なかなかうまくいかないので、講師陣みんなで悩んでいるそうです。実は、教室の雰囲気をよくするというのは、フィギュア素人のわたしがトリプルアクセルを決めるくらい難しいことです。

だからこそ1回転に相当する大きなチャレンジをした講師には、その勇気を讃え、失敗したらすぐに励まし、小さな成功を積み重ねていく過程で自信を持ってもらいたいです。いきなりトリプルアクセルを求めてはいけませんよね。

次に学生ですが、面接でもスピーチでも、長いセリフをただ暗記して、無表情のままペラペラ話すのでなく、心にセリフを乗せて相手に届けることが大事ですよね。でも、いきなり長いセリフを心をこめて話すのは難しいですから「御社が第一志望です」という、たった1秒で言い終えることのできるセリフを何十回も練習してもらい、「ああ、心にセリフを乗せて相手に届けるって、こんな感じか」というのを、カチッとハマるまで、やり続けてもらっています。

ただ、そこには落とし穴があって、どこかで自分の流暢さに満足してしまい、そこから心が置いてけぼりになってしまいます。

また、一対一の会話と舞台でのスピーチはまったくの別物です。一対一で会話するなら、たとえあなたが無表情でたとたどしく話しても、聞き手はあなたを見て、「なんだか可愛いな」と思うかもしれません。でも、あなたが舞台に立って、大勢の人が注目しているときに、無表情で話し続け、たった三秒間沈黙が続いただけで、聞き手はイライラし始めます。でも、スピーチ上手の人はそれを逆手に取って、わざと無表情で話し始めたり、わざと長い沈黙を作ったりして、聞き手をあきさせません。

反対に、スピーチ上手の人が陥りやすいのは、一対一で会話をしているときに、立板に水の如く話し続けてしまい、聞き手を置いてけぼりにしてしまうことです。

ですから、あなたがスピーチ上手になった後、身につけるべきは、一対一で会話するときに、相手を盛り上げ、たくさんのおもしろエピソードや新しいアイデアを引き出し、相手に話す自信を持ってもらうことです。そうして、話し上手を育て、話し上手を増やしていきましょう。

NPO法人日本語スピーチ協会のホームページです。末永く愛してもらえるように、がんばります。どうぞよろしくお願いいたします。

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