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これまで、数え切れないほど多くの日本語コンテストで、審査員を担当させていただいてきました。
その中で、以前から気になっていたのは、質疑応答の時間です。仕事柄、学生ができるだけ答えやすいように、つい質問の仕方を工夫してしまいます。いきなり短い質問だけを投げかけるのではなく、少し背景を添えたり、学生が答えをイメージできるだけの時間をつくったり、表情を見ながら言葉を選んだりします。審査員から突然質問され、考える時間もないまま答えなければならない学生と比べれば、ずいぶん条件が違っていたのではないかとも感じています。
その点で、福島県で行われている外国人によるスピーチコンテストは、どの審査員の方も、単に質問だけを投げかけるのではなく、質問をしながら少し説明を加え、出場者が「こういうことを聞かれているのだな」とイメージできるだけの時間を自然につくっています。そのため、多くの出場者が、自分の力を十分に発揮し、とても良い回答をしています。
テーマスピーチは、日頃の練習の成果が比較的そのまま表れます。しかし、質疑応答は、質問する審査員の話し方、表情、声の調子、質問の長さなどによって、答えやすさが大きく変わります。
ですから、普段の練習では、いろいろなタイプの審査員を経験しておくことも大切だと思います。
ぶっきらぼうに質問する審査員。
短い言葉だけで質問する審査員。
険しい表情で睨みつける審査員。
圧を感じる話し方をする審査員。
そうした相手を前にしても、落ち着いて、笑顔を忘れず、柔軟に答える練習をしておけば、本番で予想外のことが起きても、自分らしく対応できるようになります。これはスピーチ大会だけでなく、大学受験や就職の面接対策でも同じです。
面接官は、いつも笑顔で優しく質問してくれるとは限りません。ですから、先生方にも、ぜひいろいろな「面接官役」「審査員役」になりきっていただきたいと思います。時には優しい審査員、時には無表情な審査員、時には厳しい目つきの審査員。
先生自身も役になりきって楽しみながら、学習者にさまざまな場面を経験させてください。本番で強い人は、本番で突然強くなるのではなく、さまざまな相手と向き合う練習を、あらかじめ経験しています。質疑応答も面接も、才能ではなく、練習できる力だと思っています。