イベント情報

くろしおスタジオスピーチライブ

クラス全員をスピーチ上手にするには、褒め言葉集をクラス全員でなんども朗読するのが一番です。練習しなければ、言葉が口から出てきませんし、いつも誰かに褒めてもらえていないと、他人を褒める気すら起きません。互いに褒め合う習慣を身につけることが第1ステップです。
「他人を褒めて、他人から褒められる」を繰り返していくと、褒め言葉がだんだん具体的なものに変わってきます。「ああ、なるほど。そんな着眼点も有るのか」と気づくようになります。しかし、誰だって、他人の発言を聞いて、やっとその点に気づいて、それをただ真似するなんて恥ずかしいことはしたくないでしょうから、教師の立場としてはできるだけ「あなたも最初から気づいていましたよね」というスタンスで、どの学生とも付き合うようにしています。これが第2ステップです。実はこの時点でかなりの割合でスピーチ上手が育っています。
さらに、褒め言葉を使うことに慣れてくると、人を励ますことができるようになります。自分の言葉によって誰かが立ち直る瞬間に出会えたらこれ以上嬉しいことは、たぶんこの世にないと思います。ここまでくると、学生たちは自分がスピーチ上手になっていることすら忘れて、なにかを探しはじめています。
さて、日本語授業の目的は、文科省や文化庁から出されているカリキュラムや指針がありますが、個人的に目的を持っていても良いと思います。
わたしの日本語授業の目的は、学生一人一人が、他人を励まし、やり気にさせることができるようになることと、学生がコミュ力をつけて、人間関係を構築できるようになることです。
試験で高得点をとることも、スピーチで聴衆を魅了することも、それらは単独では役に立ちません。実力があっても能力が高くても、コミュ力がなくて、人にやさしくできないなら、仕事にもなりませんし、ましてや社会貢献などできるはずがありません。
ただ、コミュ力があっても実力がないなら、単なるずるいやつだと思われてしまうので、いままでもそうですが、いまも意識しているのは、
かげでコツコツ積み上げて実力をつけて試験にも強くなり、縁の下の力持ち的な、地味な役割も果たし、舞台でもキラキラ輝くことができて、さらに四方八方に気を配ることのできる人材を育成していくことです。
それができているわけではないのですが、自分ができていて、他人にそれをやらせるのがパワハラにつながるなら、自分もできていないけど、学生たちと励まし合いながら学んでいこうとするのは、いまの時代にちょうど合っているような気がします。
長々と書いてしまいましたが、世界各地に、このような思いに共感してくださる方がいて、今回、その一人の先生の教え子さんたちに、スピーチライブに出ていただきました。
みなさん、どうぞご覧になってください。

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