わたしが知っている中国におけるスピーチ大会では、これまで会ったことのない出場者たちが大会当日に会場に集まって、一人一人がスピーチをして、表彰式が終わるとそれで解散。その後も続かない…というものでした。地位のある教授や学長が講評するときには、たとえ年々レベルが下がっていたとしても「年々レベルが上がっています」「この大会は日中友好に大きな貢献をしています」と話します。「講評は単なる挨拶だし、聴衆も偉い先生の挨拶を真面目に聞いていないから大丈夫」という、身もふたもない声が常識になっていました。もちろんその状況を変えたいなどという大それた考えはありません。しかし、せめて出場した学生たちが大会後も連絡が取り合えたら良いなとは思っていました。唯一それができたのは、日経新聞社主催の中華杯でしたが、うん千万円?の経費を出し、日本で行う決勝戦に17名が出場し、彼らをまとめて1週間の日本旅行付きを賄うのは容易なことではありません。お金を使わなくてもできることはないだろうかと考え、同じ大会に出場する学生たちに事前にわたしのところに集まってもらい、一緒に稽古を積んでから大会に臨んでもらいました。一緒に訓練を積んだ学生が優勝したら、他の学生も「
おめでとう
!やったね」と普通に言えます。学生たちのそういう姿を見たら、「解散したらサヨウナラ」よりずっと良いなって思いました。昨日たまたま「東京と大阪で全国スピーチ大会がやりたいので協力してください」というお話があったので、「大会半年前から月一回、出場者全員にオンラインで即興スピーチの訓練を体験してもらい、勉強会でスピーチの方法を学んでもらいたい」とお伝えしたところ、「やりましょう」ということになりました。大会前から他の出場者のスピーチを見て学び、本気で訓練したかどうかで本番の出来も違ってくるはずです。
くろしおスタジオ・スピーチライブでは、「なぜ同じ日本語学校の学生4名が参加するのですか?競争にならないでしょう?」といった質問があります。「解散したらサヨウナラ」という機会になってはなんだか寂しい気がします。4人は一緒に練習をするでしょうから、大会後もこの4名は良い関係が築けるだろうなと思ったので、この形式を取りました!