列車事故があって、バスで帰りました。でも、バスも満席、満席。予定の帰宅時間をはるかにオーバーしてしまいました。そういえば、40数年前、夏休みに母の実家に行った時は、列車で8時間、たまに立ち席でした。いまなら列車で2時間半、全指定席。バスなら4時間。鉄道ができる前、そうですね、200年くらい前は、歩いて旅をしたのでしょう。当時の人から見れば、「なに?列車に8時間立っていれば到着できるだと一瞬じゃないかっそんなにラクなのか」と叫んだことでしょう。ずいぶん良い世の中になったものです。
さて、文科省での勉強会が終わりました。スピーチ指導ビフォーアフターに違いを感じていただき、指導法に「目から鱗だ」と言っていただけて、ありがたく思いました。
帰りのバスの中で、金間大介先生の『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』を読みました。今の大学生の特徴が詳細に書かれてありましたが、小中学生の「いい子症候群」は、さらに進んでいるような気がします。どん欲に頑張らない代わりに失敗もしたくない。ここ数年、「繊細さん」への対応策が書かれた本がかなり出ていますが、もしこの世のすべての人を繊細さんだと思って接していたら穏やかな時間が流れていきます。それでもトゲトゲした発言をする人がたまにいます。「重度な繊細さん」かもしれないので、周りが特別な気づかいをして、心を休めてもらうのが一番だと思います。「そんなのは甘えだ」とおっしゃる人もいますが、たった3人が気づかいを示せば、その人は永遠に心が休まると思います。中国には「三人言いて虎と成す」という諺があって、三人が「あなたってすごいね!」って言えば、それが真実になるという話です。以前、スピーチ大会で失敗してしまった学生がいたので、翌日の授業はその学生を励ます会にしようと思い、クラスメイト一人一人から励ましの言葉を言ってもらったのですが、効果覿面でした。文科省の勉強会でも話しましたが、優秀な教師、優秀な学生は今も昔も世界中どこにでもいます。注目したいのは、目立たない教師、目立たない学生の存在、卒業したら顔も名前も忘れてしまう存在です。「その人がいなくても世の中は回っていく」とおっしゃる人もいますし、スローガンとして、「一人一人大事な命」とも言われます。ですが、本当の意味で、一人一人大事な存在だと思います。もし圧力を感じずに思い切り羽を広げてやったら、誰だってやる気があふれ、幸せな気分でできると思います。ニートのおじさんが毎日耐え難きを耐えながら何もしないより、それはずっとラクだし、幸せなことだと思います。
オンライン授業なら、発言者と教師以外全員がミュートにするので失敗発言をおちょくる声が聞こえてきません。「繊細さん」が恥をかかないように教師がフォローすれば、学生たちも他人をフォローする言い方、方法を覚えます。フォローする方法を知らないから他人をからかい、おちょくり、いじり倒すのであって、他人をフォローする引き出しがたくさんあれば、引き出しを使います。ただ、それだけなのだと思います。