一風堂研修第2期を無事に終えました。
親や友だち、大人から批判され、自信を失うことが多いのは、日本の若者の特徴かと思いきや、世界各地の若者の口から、「私も日本の若者とほぼ同じです」という声を聞いてきました。
親や大人たちが自分の子供や教え子を簡単に肯定したり褒めたりしない理由は、社会に出ると、他人を褒める人の中に、人を騙す人がいるからかもしれません。
そして、口の甘い人に騙されたり、コントロールされたりした苦い経験から、他人を褒めるのは良くないと考えることもあるでしょう。それで「人を褒める人って怖いよね!」という話になっていくのも仕方がありません。
相手の背中を押したり応援したり励ましたりするのと、人を騙し、コントロールするのとでは、大きな違いがあるのですが、慣れていないと、その違いになかなか気づきません。
そもそも、親って、無意識のうちに自分の子供を支配したがる生き物なので、それがバレないためにも、そう疑われないためにも、自分が怪しいと思っている「褒める」という手段だけは、あえて使いたくないのでしょう。だから、批判して、怒鳴りつけ、子供の脳を脳梗塞状態にさせ、選択肢を与えず、謝罪させて支配するという、一見怪しくもなく、しかも、手っ取り早いやり方を、ついついとってしまうのだと思います。実際、自分たちもそういうしつけや教育を受けてきて、大人として、ある程度ちゃんとやっているつもりでいますから、このやり方が正しいと思うのも仕方のないことだと思います。
自分は教師という、学生を評価する立場の人間なので、その時点で、客観的に見れば、明確な支配者で恐ろしい存在ですから、人をコントロールしようとするエゴが無意識に出ないように出ないように、毎日気をつけるようにしています。
コンテストで優勝した途端に舞い上がる教え子たち、数日経ってから調子に乗り出す教え子たち、反対に、コンテストの成績に落胆して、勇気が出せなくなった教え子たちをずいぶん見てきました。
何かのプロジェクトに成功した日、笑顔で乾杯した瞬間、気持ちを切り替え、次のことを考える癖が付いたのは、教え子たちが反面教師になって、大事なことを教えてくれたからです。
授業中、誰もがクラス全員からポジティブフィードバックを受けていたら、自分も周りに合わせてポジティブフィードバックをするようになります。でも、そこからが勝負というか、社会に出ると、自分を認めてくれる人がそうそういるわけではないので、この授業は、教え子たちが生きていく道に落ちている「自信を失わないスキル」を拾う習慣を身につけてもらうためのトレーニングの場になります。そこには、様々な生きる知恵を拾って生き延びていってもらいたいという想いがあります。とはいえ、自分の人生がそうだったように、授業に期待する必要は、そこまではないとも思っています。
少なくとも、うまく行ったら謙虚になり、うまくいかないときにはさらに積極的に、さらに前に出る姿勢を持つというのを、一人一人に実践してもらえたら、この半年間の授業は、成功だったと言えると思います。