アメリカへ向けて出発
芸人時代には、バカにされるのが怖くて、才能あふれる芸人さんたちに声をかけることができなかったのですが、日本語教師になってからは、学生たちから面白い勉強方法を聞き出していました。
N1試験がまだ400点満点だった頃、クラスの合格率は、66%でした。しかし、最初にジョギングに付き合ってくれた徐くん(逆転人生で紹介)が383点で、クラスの合格率は100%に。その時、徐くんにお願いして、後輩たちに勉強方法を話してもらうと、翌年、口の形を「い」にすると、日本語の発音がきれいになります!と教えてくれた劉さんが389点。劉さんにも後輩たちの前で勉強方法を話してもらったところ、翌年は、陳さんが398点。当時、満点を目指していたので、ほとんどの学生が高得点で、クラスの平均点が360点でした。
最近聞いた話では、N1試験に合格した学生の中には、聞く、話すのが、苦手だというものが少なくないそうです。日本語教師仲間が、企業さんから、もろもろ話を伺ったそうで、
「お金をかけて入国させ、給料を払い勉強させているが、ちっとも話せない。今はビザも厳しいから半年の試用期間で解雇せざるを得ない。技人国はとても厳しい、プライドはあるから特定技能に変更しない」とのこと。
野球のルールブックを丸暗記しても、野球がうまくなるはずがないのは、誰でもわかります。でも、外国人の方が、筆記試験に合格すれば、コミュニケーションもとれるだろうと、私たちがついつい思ってしまうのは、なぜなのでしょう。
当時、N1試験で高得点をとった徐さんや劉さんが、「成績が優秀な学生を見て、試験勉強しかできないダサいやつだとバカにしないでください。勉強もできないやつのほうがダサいです。勉強以外に、四方八方に気を回し、うまく立ち回るスキルを身につけてください」と言ってくれたおかげで、後輩たちはみな、試験勉強も社会勉強も頑張ってくれました。彼らの影響を受けて、わたしも、大学院に通うことを決心しました。
彼らのアイデアをすぐに実践に移したものの、最初はあきらかにクオリティが低かったです。でも、いまは、亀の甲より年の功で、世に出せるくらいのスキルが身についてきました。
これからのアメリカでの十日間、気合いを入れて、しっかり頑張ってきます。