発表会を行いました。
研修最終日は、参加者全員に3分間スピーチをしてもらいました。作文を、単なる「起承転結」で書いてもらうと、なかなか魅力的な作文にならないので、
①ネガティブなところからのスタート。②運命の出会い:でも、なかなか進展しない。③どん底での救いの手:ターニングポイント。④明るい未来。
発表のあと、互いにポジティブフィードバックし合って、感謝の言葉を上手に伝えることで、教室の雰囲気は一変します。勝ち負けを教室に持ち込まないだけで、大きな変化が見られます。そのため、教師も学生もここで満足してしまうことがあり、気をつけたいところですが、とりあえず、それまで見たことのない景色を見ることができます。
作文の目的も、自分の想いをただ書くことではなく、「周りを元気にすること」に切り替えたいです。授業をする教師の目的も、今日説明すべき範囲を説明することではなく、学生たちを元気にして、やる気にさせることに。学生がアウトプットする目的も、しっかり言葉にすることがゴールではなく、周りを元気にして、やる気にさせることに変えられたら、クラスの雰囲気は自然と良くなります。たとえ、評価基準に該当していなかったとしても、精神衛生上やったほうが良いと思います。
高校野球部は、大勢の部員の犠牲の上になりたっていますが、良い訓練方法に切り替えて、コーチは、部員100人を全員、レギュラーと同じレベルまで上げたほうが良いと、わたしは思っています。これまで優秀だと評価されてきた選手にとっては、脅威となるかもしれませんが、そのほうが、多くの人が、生きづらさを感じずに済むと思います。
今回の研修では、ポジティブフィードバックを重んじましたが、その理由は、意外とネガティブで、「話せばわかる」とは、思っていないからです。たまには「話せばわかる」こともありますし、「話す」ことは、問題解決のための選択肢のひとつであることは間違いないのですが、きっと鍵はそこじゃないと思っています。だから、ポジティブフィードバックを大切にしていて、相手の良さを引き出そうと頑張っています。相手に興味を持つ能力は、ほとんどの人が生涯手にすることのないスキルだと思います。
長年、一流大学でない学生たちに北京大学や清華大学などの大学院の面接対策をしていました。最初に必ず「あなたは、北京(清華)大学のどの先生のどの論文を読んでどんな研究をしたいと思っていますか?」と聞きましたが、全員「まだ読んでいません」と答えていました。彼らは、もともと他人に興味がなく、大学の先生の研究にも興味がないんです。大学院を目指しているのに。でも、この訓練をする学生は、面接で合格を勝ちとることができました。彼らは、相手に興味を持つことで、人生が一変することを証明してくれました。
相手の名前も、その人の特徴も説明できるくらい何度も繰り返してつぶやけば、人の名前を覚えることくらい簡単にできます。早く名前が覚えられるのは、頭が良いからではなく、その人を大切に思っているからです。「あなたはもうひとりのわたし」「わたしはもうひとりのあなた」と思って接していると、国や年齢や性別に関係なく、すぐに仲良くなれます。
今年の夏休みは、北浦和の国際交流基金で、笹川平和財団主催の日本語教師研修が行われました。オンラインでは、三年連続で日本語教師研修を担当して、最後に学生と先生を交えた研修、発表会を行いました。長い夏休みでしたが、おかげさまで、無事に終えることができました。この夏休み、最後までお付き合いくださったみなさま、本当にありがとうございました。夏休み研修、大成功だったと言えると思います。