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面接前研修

自分の授業で「話すこと」に力を入れている理由は、留学時代に話すことの大切さに気づいたからです。当時、その日の授業で学んだことを1分、3分、10分で話すというトレーニングをひとりの韓国人留学生と一緒にやっていました。
HSK(中国語)試験直前の1週間前にリスニングの特訓を彼女とやっただけですが、試験はわたしも彼女もほぼ満点でした。
その試験のため、毎日試験対策の授業に出ていたクラスメイトよりずっと高い点数でした。理由は簡単で、いつもその日学んだことについて学生だったわたしたちは「説明する練習」をしていたからです。先生が説明しても学生は覚えられませんが、学生が説明すると、記憶の定着率が高くなり、試験対策をしなくても、四択問題で答えを選ぶ前に、答えが口をついて出てきたので、考えたり迷ったりすることがありませんでした。回答時間も半分で済みました。
その後、日本語教師になりました。たぶん訪問した中国の日本語教育機関の数は、誰よりも多いと思います。毎回自分が講演をする前にその大学の授業を見学させていただきました。授業が終わり、教室から出ていく学生たちに「今日どんなことを学んだのか1分で説明してくれませんか」と声をかけると、たいていの学生は「文法です。以上です」とひとことふたことで話し終えるか、「ちょっと、言えません」と答えるかどちらかでした。具体的に話せた学生には会えませんでした。ただ、大学院生は別で、1分でも3分でも説明できる学生がいました。「そのスキルはどの先生から学びましたか?」と質問すると、その学生は「自分の努力だけです」と答えていました。
そういった理由から、面接のためだけでなく、筆記試験のためにも、「学生が説明する練習」に力を入れてきました。その結果、もともと話すことに興味があった学生は潜在力を発揮してくれましたし、話すことに興味のなかった学生も「やろう!」という気になってくれました。学生たちが、みな仲良くなり、相手を尊重するようになり、まだ会ったこともないのに、国を超えて「彼は親友です」と語ることもあります。なにより、みな、素晴らしい進路を選んでくれるので、うれしくなります。
面接前研修も3週間が過ぎて、ひとことからふたこと、ふたことからみことと、話せることがだんだん増えてきました。12月の本番に向けて、モチベーションを維持しながら、油断をしないで頑張ってもらいたいです。
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