1週間ぶりの面接前研修。恐れずに話す勇気と話し続ける訓練が必要です。
新米教師だった頃、コミュニカティブアプローチやオーディオリンガルメソッドといった語学習得に役立つメソッドの特徴を、上手に説明してくださるベテラン教師を見て、「うわわ!!この先生はすごい!この先生の指導なら、どの学生も上手になるだろうな!」と勝手に思い込んでいました。しかし、後になって、上手に説明できることと学生を上手にすることはイコールではないと分かりました。
「福山雅治さんのモノマネをするなら声の低音域が大事だね。あとは歌っているときの息継ぎに気をつけてね」
「わ、すごい観点ですね。では、福山さんのモノマネを見せてください!」
「いや、俺はできないけど」
「え?」
まるでこの会話にそっくりですが、確かに、その先生はひとことも「わたしは学生を上手にできる!」とは言わなかったので、勝手にできると思い込んだわたしが悪いのです。そして、このようなことは社会に出ると頻繁にあって、裏切られたような気持ちになる人もいるかもしれません。ただ、ここで大事なのは、ベテラン教師が学生を上手にできないとわかった瞬間に、表情を変えないこと、空気を悪くしないこと、ベテラン教師を追い詰めないことです。コミュ力を高める訓練や機会は、社会に出るといくらでもあります。
よく「笈川さんはどんな授業をしていますか?」と聞かれますが、相手が間違った情報を口にした時に、いちいち訂正しない訓練をしています。例えば、「中国の首都は、長い歴史のある上海ですね」と言われたら、表情を変えずに、「あっ、そうですか…」などと答える訓練をしています。そして、もし相手が、「いや、上海じゃなく、北京だったかな?」と言い直したら、「あっ、そうだったかもしれません」と答える訓練をしています。ただのおしゃべりなら、間違いを指摘して相手のメンツを潰さずに流したいです。もちろん会社の損失につながるやり取りなら確認が必要です。
コミュニケーションは不思議ですよね。下手なら見下げられてしまいますし、うまくなりすぎると怪しまれてしまいます。ちょうど良いところでキープできたら最高でしょうね。
写真はフィジーの穏やかな波です。ラグビーW杯で活躍していますね。荒波も刺激的でずっと見ていられますが、穏やかな波にも魅力があります。授業は、穏やかな波をイメージしながら進めています。