外国人向け日本語教育では、文化説明として、「日本人は丁寧に謝る」「日本人は遠回しに断る」「日本人は配慮して依頼する」などと言われます。でも、これは、うまくいっている時の理想状態の説明で、実際に多いのは、「謝ったけど許してもらえない」「頼んだけど断られた」「断ったけど相手が納得しない」など、関係が崩れかけた後の対応です。今、日本で働いているベトナム人就労者にオンライン授業をしていますが、それらのスキルを学校でも家庭でも学んでこなかったですし、教科書にも書かれてなかったので、教え子たちと対応策を懸命に学びながら実践しています。
土曜日の研究会では、外国人の日本語研究者の方々が、日本人の断り表現や依頼表現について発表されていたのですが、そもそも、日本人は断るのも依頼するのも苦手で、実際はうまく行っていないのに、前提として、日本人はちゃんとできていると思われているかも?と感じたので、講演会の最初に、「日本人は、ちゃんとできていないし、報連相も日本でできた言葉ですが、命に関わる仕事をしている人以外、やっている人はあまりいないし、メールの返事が遅いどころか、メリットを感じなければ礼儀は二の次なので、レスポンスをしないのが日本人の当たり前ですよね?」と話したところ、みんなが笑いながら大きくうなずいていました。理想の日本人像と違って、私たちができていないことを、外国人の方はちゃんとわかっていて、それでも立ててくれます。まず、前提として、私たちがメールの返事をしないのは、すぐに返事するとカッコ悪いし、時間が経つと面倒臭くなるし、結局忘れてしまうからです。全ては無自覚で、自分は相手に失礼なことをしていないと固く信じているので、他人からそこを指摘されると落ち込み、ムカつきます。でも、体裁を整えるのは、天才的に上手く、それでなんとか食べていけてます。それは、毎日他人から受ける小さな小さな無礼を、耐えながら辿り着いた答えです。どの国にも特徴があって、良いところも悪いところもありますが、多分どの国の人も、毎日耐えながら辿り着いた答えが今。だから、認め、許し合うのも一つの手だと思います。