小学6年生向けの講演テーマを「逆境で目を見開き、逆境で笑え」にしました。
最近、モチベーションを上げたくて、映画『ひゃくえむ』を観てきました。勝ち負けの世界に生きる主人公の姿が、すごく新鮮でした。
でも、思い出しました。まだ新米教師だった頃、大学から渡された教科書を見て、「これは…終わらない」と本気で思った日のことを。
そこで生まれたのが、「型(かた)」という考え方でした。全部を完璧にやるのではなく、印象に残った一文を選んでその理由を語り、エピソードを添えて、最後に「自分は何を学んだのか」をまとめる。
その「型」を使って授業を続けていたら、学期末に主任の先生が抜き打ちでテストをしました。
「第五章を2分で説明して」
「第十章を話してみて」
学生たちは一人ずつ立ち上がり、自分の言葉で、流れるように話しました。主任の先生は目を丸くしていました。もし、全ページを“こなすだけ”の授業をしていたら、きっと学生たちは「わかりません」「忘れました」「疲れました」としか言えなかったと思います。
でも、目の前に“無理だ”と思える壁があったからこそ、新しい型を生み出せました。20年以上たった今でも、あの日の「型」は、いまでもキラキラ輝いています。