日経新聞主催のスピーチ大会を見に、今から東京へ参ります。
大学教員だった頃、スピーチ大会前に学生たちを集め、よくやっていたのは、優勝インタビューの練習でした。優勝者になりきって、準優勝者、3位の学生たちのスピーチを褒めながら、「自分も負けずにもっと頑張ります」といった謙虚なコメントをする練習です。練習を3、4回すると、本番で、「全然本調子じゃなかったけど、優勝できました。あはは」などという、周りをドン引きさせるような嫌味なコメントをせずに済みます。また、2位だった時、3位だった時に、1位の学生を褒め、謙虚なコメントをする練習。入賞できなかったけれど、練習に付き合ってくださった先生方、クラスメイトの仲間たちに感謝の気持ちを述べる練習をしていました。
人は、結果だけで人を判断しません。良い結果なら謙虚かどうか、悪い結果なら前向きかどうかを見て応援してくれるので、謙虚になる訓練も前向きになる訓練も必要です。そして、結果はどうでも良いという考えと遊び心さえあれば、謙虚さや前向きな姿勢が習慣化されます。
この世に、永遠に謙虚な人はいないし、永遠に前向きな人もいないから、自分の機嫌が良い時に、「謙虚になろう」「前向きになろう」と気持ちをリセットさせれば、もう十分です。父がよく言っていましたが、そもそもこの世に謙虚だと言われる人はいても、本当に謙虚な人はいない。最悪なのは、自分を謙虚だと勘違いして、他人に説教する人間で、お前はそういう人間になるなよと。ですから、謙虚でない自分をダメなやつだと落ち込む必要も、不遜な態度が出て、自己嫌悪に陥る必要もなく、「ああ、五十歩百歩、みんなと同じになっちゃったよ。あはは」と笑っておけば、気持ちの切り替えがすぐできます。
最後に、スピーチ大会で、良いスピーチをするポイントです。今日は中国人学生の大会なので、面白いことを言っても、「不真面目だ」「アカデミックじゃない」と言われ、評価されません。面白い話は世界大会でやりたいです。今日のところは、正しいアクセント、きれいな発音と誠実な声、誠実な態度で誠実にスピーチすることが鍵になります。そして、今日は全国大会なので、ほとんどの発表者はリズム良く発表します。でも、同じリズムで発表すると、だんだん退屈になってくるので、抑揚をつけるのがオススメです。時には速く、時にはゆっくりと、時には声を張り、時にはささやくように話します。そう、半沢直樹がやっていたように緩急をつけるのです。スピーチは緊張と緩和が命ですね。最後に、目をキラキラさせるため、好きな人、会いたい人、欲しいものをイメージしながら話します。これから自分の教え子たちにスピーチ指導をする際、ぜひ、このポイントを使ってください。