昨日は、中国へ出発直前のオリエンテーションでした。参加された先生方にお伝えしたかったのは、「寄り添うこと」の大切さでした。
「若者を良き道に導くカリスマ教師」の中には、教え子が東大に入ったら、「やったすごいぞ
万歳
」と喜び、教え子が東大を中退し、ニートになったとたんに知らんぷりしてしまう人がいるかもしれません。また、似たような例ですが、同僚や教え子が不祥事を起こした瞬間に、人間関係を切ろうと考える人もいるかもしれません。
24年前、中国に着いた途端に「別れて」と言った彼女のご両親は、その瞬間から、わたしとはなんの関係もなくなったはずですが、その後1年間食事の面倒などを見てもらい、おふたりから「寄り添うこと」の大切さを教えていただきました。
「寄り添う」というのは、たぶん、私たちの答えであって、ゴールなのだと思います。立派な学生を育てるのも、スピーチ大会や試験で活躍する学生を育てるのも、それは目的でも答えでもゴールでもなくて、単なる過程です。ただ、そこは高く評価してもらえることもあるせいで、実績があるからすごいと自分を勘違いして、偉ぶる人が出てきたり、実績がないせいで、自分を卑下して、他人を羨む人が出てきたりするかもしれません。
我が子に当てはめても良いのですが、教え子のことで、悩んで悩んで、一生心配し続けること、放課後、教え子や卒業生を思う時、ふと、「元気かな?」と考えるのが、答えであり、ゴールなのだと思います。「親孝行って何?と考える。でもそれを考えることがもう親孝行なのかもしれない」と誰かが歌っていました。立派な子を育てるとか、立派な学生を育てるとか、それを目的にしていたら、その心は自分の周りの人に見透かされていると思いますし、「寄り添うこと」を大切にしていたら、きっと、学生たちも、あなたをふと、「元気かな?」と思ってくれているはずです。
「学生が上手になる授業」の目的は、できない人に寄り添える人になることです。普段から他人を見下さないで、誰の話でも、途中で口を挟まずに最後まで聞くとか、反対意見を言う人と言い争わないとか、目立たない学生を無視するようなひどい教師にさえ、寄り添うことを、一緒に頑張ってやりましょう!とお伝えしたかったです。そりゃ、腹が立つこともありますし、うまくいかず、失敗に終わることもあるかもしれませんが、あきらめずに、何度もやることに意味があります。
それから、大森先生ご夫妻の作文コンクールの宣伝を、Facebookでも何度も投稿させていただいていますが、このおふたりの先生は、私財をなげうって、37年間、学生たちに学習機会を作られてきました。それが前大会、「そんな良い人がこの世にいるはずがない。裏がある」という決めつけから、おふたりに酷い言葉を浴びせた方がいたそうで、おふたりは心傷つき、「心が折れました」とおっしゃいました。
37年間も続けられたおふたりの最後が、それ?
いまの時代、ひとの心を折るのは、簡単かもしれません。折れてしまったおふたりの心を、元通りにすることはできませんが、あれで終わりにするのは違うと思って、思い浮かんだアイデアはなんでもやってみました。復興庁にお願いして作文コンクールを開催していただいたり、自分で主催をしたりして、時間稼ぎをしました。ずいぶん時間がかかりましたが、ある日、欧州各地の先生方に作文集を手渡し、へとへとになっていたところに、大森先生から「もう一度、作文コンクールをやろうと思います。ご協力いただけますか?」というEメールが届き、涙がこぼれました。
今年に入ってから、国際交流基金様もJICA様も文科省様も後援してくださることになりました。その後、世界にある156の日本国大使館にひとつひとつEメールで作文コンクールのご案内をしました。大使館は敷居が高いので、無視されるだろうことは容易に想像できましたが、勇気を出してご案内しました。すると、協力します!と言ってくださった日本国大使館は、予想以上に多かったです。大森先生ご夫妻は、すでに4000作文すべてに目を通されていて、目標の10000作品すべてに目を通されるとおっしゃいます。
おかげさまで、応募数は順調に増えていますが、一人一人の作文の積み重ねだけが、信頼できる方法です。どうか、周りにいらっしゃる方一人だけでもご応募いただき、ご支援ご協力をいただけますよう、宜しくお願い致します
https://www.nihonwosiru.jp/
コンクールの詳細や過去の入賞者が記載されています。
yuraumi@yahoo.co.jp
こちらは大森先生ご夫妻のEメールアドレスです。作文の応募以外にも、もし伝えたいメッセージがありましたら、ご連絡いただけますと嬉しいです。