イベント情報

新幹線の車内にて



日本語教師研修のたびに、「どうしてそんなに堂々と話せるんですか?」と聞かれます。私は毎回「何度も同じ話をしているからですよ」と答えていました。

でも、あの質問は“話し方のコツ”を知りたかったのではなく、「人前で話すのが怖い私を、助けてください」という心の叫びだったのかもしれません。

もしかしたら今夜10分、明日10分、たった20分の練習で解決できたのかもしれません。やり方を話しただけでは、その方はずっと「話すことが怖いまま」で変わらないかもしれません。

東京から新大阪へ向かう新幹線の中で、スマホを見ているうちに、富士山を見逃しました。そこに確かにあったのに、見ようとしなかった。もしかしたら、人の努力や悩みも、同じように、見ようとしなければ見えないのでしょう。

自分は他の人に「ちゃんと見てほしい」と思うのに、自分は他の人を見ようとしていなかった。

例えば、全校生徒を前に体育館で1時間厳しく叱る先生に「そんな方法では反省は生まれない。信頼もなくなる」と、研究者の成果を使ってつい批判してしまいそうになります。けれどその先生も、きっと、どうすればいいのかわからず毎日悩み、不安を抱えているでしょう。

また、努力を信じて厳しく指導したのに、生徒が本番で失敗して落ち込む先生。一方で、楽しそうに練習していた生徒がのびのびとスピーチを成功させるのを見て、複雑な気持ちになることもあるでしょう。

以前の私は、「それはあなたの指導のせいでしょう」と心の中で突き放していましたし、その裏にあるその先生の「苦しみ」や「不安」「がんばり」を見ようとしていませんでした。

うまくいく方法を口で説明するよりも、「見ようとする心」と「寄り添おうとする行動」が必要。今日はちょこっと良いことを書いてしまいました💦

これから高野山大学でのイベントが始まります。頑張ってきます

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