親が「早く片付けて」「早く着替えて」「急いで」とキレるのはいつもギリギリのとき。これはスケジュールを意識して動いている親には自然の流れ。でも目の前の自分の興味に熱中していた子どもにとっては突然すぎて切り替えができない。その10分前に「長い針が5になったら片付けよう」と言っておくだけでかなり違う。子どもなりに心の準備ができるから。
これは、親野智可等(oyanochikara)先生の言葉で、わたしはよくご著書を読んでいるのですが、これは自分の子どもたちへの対応だけでなく、学生への対応にも、ほかの日本語の先生への対応にも役立つと思っています。
学校の先生の多くは、ご自分で朗読して、朗読が終わると、急に学生に質問をしてきます。先生の朗読を聞いていなかった学生にとっては、それはとても恐ろしい時間です。
高校時代、48人教室だったので、自分が指される確率は2%。ですから、高校3年間、ずっと油断していました。先生が朗読を始める直前に前の席の女子からプリントが渡され、彼女が笑顔だったのを思い出すと、「(悪魔)あの子、お前のことが好きなんじゃないか?」「(天使)いや、それはない。たまたまだよ」「(悪魔)照れるなよ。お前もあの子が好きなんだろう?」「(天使)いや、好きじゃないし、あの子は他の男子にも笑顔で接しているよ」「(悪魔)なに?いやらしいオンナだな」「(天使)そう言うなよ。本当に良い子なんだ」などと一人で妄想を膨らましていたら、突然先生から「じゃあ、次は笈川君。答えて」って。オイオイ、頼むから先に言ってくれよ。いきなりの指名はないだろっ!と思ったものです。
その頃は、尾崎豊さんや長渕剛さんのアルバムの歌詞(全曲)を一週間かけて机に書き込み、そこから1ヶ月、気合いの入っていない先生の授業では、先生が口をパクパク動かし、何かを話していることだけはわかりましたが、なにも聞こえてきません。なぜなら、わたしの脳内BGMは大音量で、尾崎さんが「セブンティーンズマーーップ」と叫んでいたからです。ですが、そんな状況でも、自分の名前だけは聞こえてきました。「じゃあ、次は笈川君。答えて」と。わたしは、先生から指名されるたびに憤りました。
そのような経験があったので、わたしは授業中、朗読をはじめる前に、「では、王さん、わたしが朗読を終えたら○○について感想を言ってもらいたいので、心の準備をしておいてください。張さんは、本文の内容を要約して、40秒で話す心の準備をしておいてください」などと言うようにしています。そうすると、朗読を終えてから質問を投げかけるよりも時間の節約ができますし、無駄な沈黙時間も作りません。気まづい空気が流れることもありません。それと、自分が朗読をするときに棒読みにならないように気をつけ、説明時に心をこめて話しているのは、尾崎さんや長渕さんが歌と歌の合間にコンサートに来てくれたお客さんへのメッセージを心を込めて話していたのを、高校時代にずっと聞いていたからかもしれません。
昨日は、広野町の子供たちが海外の大学生にスピーチをしました。