「人の気持ちがわかる人になりなさい」とよく言われました。でも、人の気持ちは、どんなに頑張ってもわかりません。わかったつもりになることはできても、同じ痛みを完全に感じることはできないと思います。
ちょうど昨年のこの時期にスズメバチに刺されました。人生で初めて味わう激痛で、呼吸も苦しくなるほどでした。「神様、この痛みが引いたら、どんな試練にも耐えます!」と祈りました。でも、痛みが引いた後、あれほどの痛みを感じていた自分のことさえ、信じられなくなりました。たった数時間前の痛みと恐怖を、思い出せなくなっていたからです。
この経験から、人は他人の痛みどころか、過去の自分の痛みさえ思い出せない。だから、「人の気持ちがわかる」と言い切ることはできないと思いました。
では、何もできないか?人の苦しみを“代わりに”背負うことはできませんが、苦しみを“一人で抱えない”ようにすることはできます。共感は、相手の痛みを完全にコピーすることでも、相手の感情をそのまま自分が体験することでもなく、「想像」と「敬意」を持って、そっと寄り添う“選択”だと思います。
「その痛みは本当に大変だね」と想像すること。「その気持ちを軽く言わず、大切に扱う」敬意を持つこと。そして、「あなたは一人じゃないよ」とそっと伝えること。それが、私たちにできる共感だと思います。
他人の痛みは完全に理解できませんが、理解できないから、丁寧に寄り添う。わからないから、言葉を選び、態度で示す。痛みを“取り除けない”から、痛みを“独りぼっちにしない”。
それは、苦しんでいる人にとって、ただ「わかるよ」と言われるより、ずっと優しい力になるはずです。人の痛みはわからなくていいから、わからないまま、寄り添うその姿勢が、救いになります。
成功を目前にしていても、そう思えないうちは、成功できない気がします。このイベントは、韓国人留学生向けの講演です。頑張ってきます![]()