以前、イチローさんが松坂大輔さんに「お前は深いところで野球を舐めている」と言ったそうですが、おそらく、差こそあれ、ほとんどの人は、深いところで社会や人を舐めていると思います。深いところで人を舐めないよう自分に求めると潰れてしまう繊細な方もいるでしょうし、他人に求めてはいけないことだともわかってはいます。それより「知らないうちに社会も人のことも舐めてしまう自分がいるから気をつけながら生きていこうね」と共感し合い、励まし合うほうが健全なのかもしれません。
今回の内定者研修は、ビジネスマナーや敬語がテーマです。エンジニアのみなさんに敬語授業をするのは、敬語のスペシャリストや敬語の研究者になってもらいたいからではなく、仕事であなたの足を引っ張るような攻撃から、自分を守ってもらいたいからです。
若い頃、尊敬していない相手には、尊敬していないことがバレてしまうような態度、表情でいるのが自然で正しいと思っていました。それが素直な自分、ありのままの自分、正しい自分だと思っていました。原因は、単に勉強不足、知識不足、経験不足で、20代でも小学生がやるような幼稚なことをやっていました。でも、その時は、自分が社会を舐め、人を舐めているという意識もありませんでした。ですから、自分が若い頃にやっていた幼稚なことを、教え子たちがやっているところを見たら、人を舐めてはいけないという価値観を、どうしても押し付けてしまいます
