イベント情報

内定者研修実施中

自分の意見がない。そもそも話せる話題がなく、人の話を聞いても「良かった」「よくなかった」くらいのことしか言えない。そんなことでディスカッションなどできない!と嘆く先生、学生たちがいます。(もしかしたら、大半がそうかもしれません)

毎年上海で全国日本語ディベート大会が行われていて、何度か見に行ったことがあるのですが、その日も、両チームとも相手グループを罵倒するような見苦しい攻防戦が繰り広げられていたので、「ディベート大会って、嫌だな」と思っていました。ある教え子が優勝を目指して出場していたのですが、午前中のスピーチで失敗したようで、「午後はどうしよう」と相談してくれました。「相手の良い部分を褒めまくって、最後にひと言だけ反論してみて。少しは雰囲気が良くなると思うから」と話しました。結局、そのようなやり方で討論を進めた学生は他におらず、彼が優勝しました。そのとき、「審査員たちも、あのやり合いを見苦しいと思っていたんだな」と思いました。

学習者にとっての最大の問題は「言いたいことがない」「言いたいことがあっても、日本語では話せない」ということだと思います。もちろん、本当に言いたいことがあるなら、時間いっぱい言えば良いと思います。例えば、居酒屋でサラリーマンが上司や部下に対する不満をノンストップで捲し立てることがあるそうです。女性同士の会話でも、愚痴や陰口でストレスを発散することがあるかもしれません。そういうとき、話す内容と表情が一致していて、クオリティの高いスピーチになっていると思います。フォーマルな場ではトーンを落として、丁寧な言葉づかいに直す必要があると思いますが、言いたいことを、丁寧で、気の利いた言い方に変えるだけで、素材はそのまま持っていけると思います。愚痴や陰口が上手な人は、多分、スピーチの才能があるのでしょう。ただ、スピーチの才能がなくても、才能のある人より良いスピーチはできるので、結局は、才能は関係ないと思います。

毎回新しい教材を自分で作って、それで授業をしているのですが、どの教材も、思わず、意見したくなるような、超ネガティブなものや我がふり直せと反省するしかないようなものを主に用意しますが、たまに何も手をつけず、そのまま授業に持っていけるような素材も見つかります。先週は、バカリズムさんの「非凡のすすめ」を使って授業してみました。著作権の問題もあって、授業にするのはどうだろうという意見もあると思うので、各々で動画を見てもらい、授業で討論会をしてみました。
https://fb.watch/bcDfyVB8IN/

バカリズムさんのプレゼンテーションの台本を書き起こして、アクセント表記をした楽譜を作成したら2時間くらいかかってしまいました。出版する際には使えませんが、学生たちの発話が止まらなくなるほど盛り上がりました。もし「台本の楽譜が欲しい!」という方がいらっしゃいましたら、こっそりメッセンジャーで連絡ください。

シェアする