中国動画メディアからインタビューを受けました。政治の話はありませんでした。
小学校5年の3学期まで、クラスで下から3番目の成績でした。勉強せず、ただ毎日を過ごすだけの子どもでした。しかしある日、母から「入院しているお父さんが、助からないかもしれない」と聞かされた瞬間、何かが切り替わりました。
その夜から頭が冴えるようになり、勉強したことのなかった私が、薄い一問一答の問題集を毎日1冊ずつ丸暗記するようになりました。基礎がなかったにもかかわらず、その学期の成績はクラス2位。6年生になると学級委員長・議長・応援団長などを任され、成績もクラス1位になりました。
中学生になっても成績は落ちませんでした。ところが、中学3年で受けた北辰テストでは偏差値50。学校のテストは良かったのに、全国レベルの実力テストでは真ん中。
その瞬間、痛感しました。
「学校のテストで良い点を取っても、本当の実力は身についていない。」
学校の定期テストは、直前に覚えれば良い点が取れます。しかし、すぐ忘れるので、初めて見る問題には太刀打ちできません。塾で体系的に基礎を積み上げた他の生徒には、かないませんでした。
高校で野球部に入ると、勉強する習慣は失われました。大学受験でも思うように力が出せず、浪人しても途中で心が折れました。大学には合格したものの、自分の学力に自信を持つことはできませんでした。
そんな私が勉強の本質を学んだのは、北京大学・清華大学で日本語教師として教えるようになってからです。教え子たちが「どう学び、どう伸びるのか」を目の前で見る中で、確信を持つようになりました。
なぜ座学では「逆転現象」が起きにくいのか
中国の教室で、わかったことがあります。それは、座学型では、もともとできる子は伸び、できない子は置き去りになり、逆転は起きないということを。
理由はシンプルです。
• 教わるだけでは、理解したように見えても「使える力」にならないから
• 内容を覚えても、問題の“本質”をつかむ力は育たないから
• 自分で考える機会が少なく、学びが定着しないから
• 成功体験が作れず、自信がつかないから
かつての私の姿そのものでした。そして、中国の大学で教える中で、見落としていた大切なものに気づきました。
「人は、自分で話し、自分でつかんだ知識しか、本当の力にならない」
逆転が起きるのは、参加型・発話型・実践型の学びです。学習者が主役になり、成功体験を重ね、「自分にもできる」という感覚が持てたとき、驚くほど学力が伸びます。
今、強く感じていること
若い頃、誰かが与えた「正しいはずのアドバイス」に従っていました。
「定期テストで良い点を取れば受験は成功する」「座って静かに聞くのが勉強だ」
しかし、それは単なるこちらの勘違いで、時に“勉強の本質”から自分を遠ざけるものでした。勉強はもっと自由で、もっと科学的で、もっと人間的です。中国での経験を通じて、体で学びました。ですから、中国で知ったより良い学び方を日本の子どもたちに伝えたい。逆転できる学びを届けたい。そう強く願っています。もちろん、多くの課題がありますが。
「正しい学び方を知れば、人は必ず伸びる」「どんな子でも、逆転できる」
かつての勉強に自信が持てなかった自分への答えを、今の学習者たちに届けたいです。
■ 最後に
長い話を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。みなさんが、この経験から何か新しい視点を得られるなら、嬉しく思います。もし私がまだ気づいていない点や、加えたほうがよい観点があれば、どうぞ遠慮なくお知らせください。一緒に、より良い勉強の形を考えていけたら嬉しいです。