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三宅島ライフ

授業中、先生の話を聞いて、メモして、うちで暗記する以外の学習方法を知らなかった。模擬授業では応用が加わるから、塾通いをしていたクラスメイトには敵わなかったし、10代の自分は勉強が得意とはとても思えなかった。

運良く中国の大学の先生になったので、暇を見つけて、教え子たちが住む宿舎へ出向き、学習方法を一人一人聞いて回った。自分がやっていた方法を話すと、「ああ、意味ないやつだね」と一蹴された。そもそも、小学生のときに中学の勉強、中学生のときに高校の勉強、高校に入ったら、大学受験の勉強をしていた彼らにとって、昼間の授業は、『ルパン三世カリオストロの城』の再放送を見ているようなものだ。彼らは、受験問題の解説を立板に水の如く、いつまでも話すことができた。そして、「先生、説明できないということは、理解ができていないということだからね」と言われた。

鏡に向かって、学んだ内容を説明する。うまく説明できないときは、教科書か参考書をめくる。説明できるようになったら担当の先生に向かって話す。先生が喜んで、新しい内容を話してくれる。その後、鏡に向かって確認作業をしてから、クラスメイトに話す。その繰り返し。

かいつまんで話すと、教え子たちの学習方法はこんな感じだった。

「そんなすごい方法があるのに、なぜ授業では誰もやらないんだ‼️

「知らないよ。じゃ、先生がやってよ」と言われたから、やることにした。

一流大学の学生だけでなく、三流大学の学生にも大いに役立ったし、三宅中学全員を一瞬にして、二分間の即興スピーチを人前で堂々とできる生徒にしてしまった。

もともと、教え子たちが放課後自分でやっていたすごい方法を、授業でやってみただけ。しかし、世の中は非常にシンプルにできているから、すごい学習方法を授業で使えば、すごい授業になる。

自信を持って意見をスラスラと言えるようになった生徒たちも、その様子を見てくれていた先生も、『20年くらい人生を無駄にしたからって、大して変わらない』という話を真剣に聞いてくれた。その中に、転校する前に、一時期、引きこもっていた生徒もいたらしい。

半年間引きこもったというのは、半年間火星に住んだというのと、同じくらい価値がある貴重な体験だ。20年無駄に…などというテーマにしたのは、後悔する事なんかないよ!と言いたかったからだ。

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