日本語トレーニングセンターで、ゼロ初級の学習者にオンラインで模擬授業をしています。ひとりひとりの良いところを見つけてコメントすると、「カチッ」とはまる音がします。指摘・訂正はしません。指摘・訂正をすると教室に緊張が走り、全員の声が小さくなりますが、ポジティブフィードバックをすると、教室全体が熱を帯びて、教室活動では、びっくりするくらい大きな声が聞こえてきます。
でも、以前は、発音・アクセント、文法のミスをゼロにして、コンテストに臨んでいました。教え子を励まし、支えながら、問題点を何百回も何千回も指摘・訂正していました。時間、体力、観察力が必要ですから、コスパを重視したい教師が再現するのは、容易ではないかもしれません。このやり方は、学習者にも教師にも高い忍耐が求められ、教師の力量差が結果に直結します。うまくいけば、「我慢→成長→回復」という美しい景色を見ることができますが、「200人も優勝できると聞いて真似したけど、教師も学習者も、我慢 → 消耗 → 崩壊したぞ」という声も聞きました。
それが理由で、指摘・訂正をやめ、指導経験も高学歴も知識量も関係なく、どの教師でも再現可能な指導の道を考えました。それが、ポジティブフィードバックの指導法です。そもそも「あなたも教師なら、わたしと同じように徹底的に身を削ってやれ!」というのは、誠実でないとも思いました。
ポジティブフィードバックは、学習者が壊れにくく、教師が続けやすく、教室の雰囲気が明るくなり、学習者の話す意欲が保たれ、多くの現場で実践できるという大きな価値を生み出します。このセンターでは、すべての先生がポジティブフィードバックを使って授業をしていて、この1ヶ月でセンターの雰囲気が一気に変わったそうです。
以前は「ミスをゼロにすること」を、今は「人が前向きに話し続けられること」を目指して、わたしも頑張っています。自分の中では、厳しい指導法は、やりきったと感じていて、その成果もその代償も知っているので、いまは、ポジティブフィードバックで「続けられる指導」をサポートしていきたいと思っています。