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スピーチ部2週目

スピーチ部2週目。台本なしでスピーチしてもらいました。
ある生徒がみんなの前で「笈川先生は私たち一人一人を褒めてくれるけど、うちの先生は誰のことも褒めません」と言うので、「あのね、私たち大人は子どもの頃、周りから褒められずに育ってきたから、自分が大人になって、先生になって、急に他人を褒めることができるわけがないでしょ?いまから、みんなで上手に人を褒める勉強をして、みんなで先生を育てなきゃだめだよ」って返したら、「はい、私たちが先生を良い先生に育てます」と言ってくれました。みんな良い子たちです。
大人からなにかと注意を受けて育ってきた子どもたちは、気に入らないことがあれば無意識に周りを注意し出します。大人は本当に無意識にわるぎもなく子どもたちを傷つけますし、傷ついた子どもたちは近くにいる弱いものを無意識に傷つけます。水槽はどんどん濁っていき、病気の魚、癌を患った魚を生み出します。
金八先生は、人は悲しみが多いほど、人にはやさしくできるのだからと歌いますし、人を信じて傷つくほうが良いと言って励ましてくれましたが、こうやっていつも励ましてくれる人がそばにいれば良いのですが、誰も励ましてくれないなら、悲しみを経た人は、なかなか人にやさしくできませんし、人を信じて傷ついた人は、人を信じることをやめてしまいます。濁った水槽の水をきれいにするということは、他人を励ますことのできる人を増やすということだと思います。
50歳のおじさんがいくら頑張っても日本は変わりません。結局、濁った水槽の水をきれいにできるのは、若い世代です。私たちは、自分では気づきませんが、臭い息を吐き続けています。
子どもたちに他人を励ます技術をマスターしてもらい、人を励ます能力を身につけてもらえたら、私たちの臭い息もきれいな息に変えてもらえるかもしれません。
完全に他力本願
50歳の私たちはきっと定年退職後、十分な年金がもらえないでしょう。人口も激減して、想像もできないくらい貧しい生活をしていかなければならないかもしれません。明日のご飯の心配をするくらいの貧しい生活が待っているかもしれません。
経済大国に生まれ、小学生の頃に見た社会の資料集には、日本はどの分野でも世界No.1か2位。自分はすごくないのに、「俺ってすごいぞ」って思いました。大学時代はスキーセットを揃えて、苗場へ!毎年数回滑りに行き、お金もたくさん使いました。苗場スキー場周辺の億ションタワマン群はいま廃墟になっているそうです。
まさか、幼い頃に読んだ『アリとキリギリス』のキリギリスが、自分たちのことだったなんて、そんな悪夢は見たくなかったです。
自分が50歳になって、まさか日本がこんなふうになるなんて思いもしませんでした。28年前、北京に留学して、目の前のガタガタ道を、スイカを大量に積んだロバ車がゆっくり通り過ぎてゆくのどかな風景をみて、まさかこの中国があっというまに日本を追い越してゆくなんて、想像すらできませんでした。
私たち世代ができなかった、あるいは頑なに拒んでしまった、海外の人たちと上手に付き合っていくスキルを身につけるということを、私たちの代わりに、若い世代の人たちにやってもらい、たくさんの外国人に日本で働いてもらい、年老いて歩けなくなった私たちを介護してもらい、食べさせてもらい、日本の人口激減を抑えてもらうことしか、私たちが生きる道はないと思います。私たちはもう、子どもたちや日本で働いてくれる外国人たちにおんぶに抱っこしてもらうしかないと思います。
子どもたちには、スピーチ部を通して、「勉強は面白い」と思ってもらいたいです。学問を面白いものだとわかってもらい、海外の大学生のように大学院に進み、研究に精を出してもらいたいです。また、「仕事って、つらいとか苦しいとかいうものじゃなく、なによりも面白く、スマホゲームやTikTokなんかよりずっと面白い」と思ってもらいたいです。「100億円あったら今の仕事なんかやめてやる」などと考える人がいますが、「仕事は面白いものだから、100億円もらっても、昨日と同じ仕事を今まで通りやりたい」って思ってもらいたいです。
中国にいたときは、自分の学生には世界一の日本語使いになってもらい、孔子や孟子のような人間性を持ってもらい、世界中どこへ行っても活躍できる人になってもらいたいという願いをこめて日本語授業をしていました。いまは、日本を救ってもらいたいという切実な思いで、子どもたちにスピーチ授業をしています。間に合わないかもしれないという不安はありますが、不安を消し去りながら、コツコツやって行こうと思います。
【ビデオ】メディアで取り上げられたタイミングでほかの子たちもご紹介します。みんなすごいです。今回はうちの子どもたちだけです。
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