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シュリーマン研修

毎回、授業のはじめに復習をします。5回目となる今日は、第1回から第4回までの内容をひと通り振り返ります。 第1回の内容については、これまで3度復習しました。東大を首席で卒業された山口真由先生が紹介されている「7回読み勉強法」によれば、この頃から少しずつ内容が身についてくるそうです。
新しいことを次々に積み重ねる学習は、一見すると前に進んでいるように見えますが、実は理解が追いつかず、学ぶ側にとって負担になってしまうこともあるようです。教える側も、未習の言葉を使わないように気を配りながら説明を重ねるため、なかなか思うように伝えられず、悩まれている方が少なくないそうです。そもそも「既習の言葉を使って説明すれば、学習者は理解できるだろう!」というなら、1回習っただけで司法試験も医師国家試験も合格できますよね。そんなこんなで、学習者だけでなく、先生方にとっても苦しい苦しい状況だと聞いています。
シュリーマン研修では、ベトナム人社員の方々が、日本人社員と日本語でやりとりできるようになることを目標にしています。文法の細かな間違いについては、意味がきちんと伝わるのであれば、厳しくは問いません。それよりも、話すときの態度や表情を大切にしています。
研修を始める前に社長さんから「1年くらいかけて指導してほしい」と言われましたが、3回目の授業が終わった後、「最近、毎日何度もホウレンソウをしてくれるようになったから、日本語でのコミュニケーションがずいぶん楽になったよ」と声をかけていただきました。 3回の授業で日本語力そのものが大きく伸びたわけではないと思います。ただ、「今、何を話すべきか」「どんな内容を伝えればよいか」が分かれば、自然と周りとのやりとりが増えます。その結果、本人も周囲も「コミュニケーションできるようになった」と感じて、前向きな気持ちが生まれます。 語彙量は大切ですが、「話すべきことが分からない」「どこまで話してよいか分からない」「話すべきでないことがわからない」状態では、失敗を恐れて、黙ってしまいがちです。日本語語彙の豊富な日本人も、上司に叱られている時に何を言えば良いかわからなくなると黙るしかありません。
研究者を目指す場合には、日本語の正確さを丁寧に追求することが必要だと思います。職場でのコミュニケーションでは、スピード感や前向きな姿勢も同じくらい大切です。話す内容が整理できていれば、N4レベルの語彙であっても、日本人社員との日本語でのやりとりは、十分に成り立つように思います。
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