日本語をうまく話せない学生が、同じセリフを何人かの違う相手に言うことで、流暢に話せるようになり、話せる話題も増えて自信をつけ出すのですが、使える語彙を増やさない限り、いつまでも同じレベルから抜け出せません。私が学生たちに「教科書の本文をいきなりノートに書かないで!」というのは、いきなり書いても身につかないからです。音読を繰り返し、スラスラ読めるようになってから本文を書き写せば、暗記にも役立ち、使用語彙が増えます。でも、本人に「もっと上達したい」という気持ちがなければ、もちろん役に立ちません。
昨日、教え子のひとりから「東京大学の博士課程に進むことになりました」と連絡がありました。彼女は地方の大学生時代、北京に来て、私の授業にも参加してくれたことがあります。その後、スピーチ大会で目立だったことから、彼女の大学の学院長が「うちの特任教授になって」とおっしゃり、招待してもらいました。
「何も見ないで流暢に話せるようになったけど、正確性に欠ける」と彼女が悩んでいたので、正しい文章を書き写すことを提案しました。彼女は、流暢に読めるようになった文章を正しく書き写したり、聞いて書き起こしたりすることで、正しい日本語が使えるようになりました。彼女は卒業後「北京の大学院で文学を研究したい」と言うので、良い先生のいる大学を紹介しました。彼女はその先生の大ファンになったので、面接でも熱意が通じて合格。筆記試験も高得点だったそうです。
東京大学の博士課程に進学する秘訣を私は知りませんが、彼女からの知らせを聞いて、嬉しく思いました。ただ、周りから無条件にお祝いしてもらえる状況の中、調子に乗って、周りを馬鹿にし出したり、努力を止めてしまったりすると、そこが、地獄の始まりとなり、これまでにない苦痛を味わうことになるので、油断することなく、一歩一歩頑張ってもらいたいと思っています。
ところで、今夜は久しぶりにオンラインで中国全土へ向けた授業をしてきます。ちゃんと入室できるかどうか少し心配ですが、頑張ってきます!