うまく説明しても厳しく指導しても、学生はなかなか上手になってくれませんし、学生を圧迫すると、通る声を出してくれません。反発はするわ、やめるわで、ハイリスクのわりに、成果がとぼしいです。思い通りに学生が従ってくれないことで、イライラしながら過ごされている先生方も少なくないと思います。
人は機嫌が良いと、いろんなことを同時に大量にできちゃったりします。学生の機嫌が良くなれば、指導もたやすくなり、堂々とした態度と通る声で発表してもらえます。
そのタイミングで、学生に「これから厳しい表情で睨みつけるから、気にしないでスピーチを続けて」と言えば、学生たちは気にすることなく、堂々と発表してくれます。逆境にもつよくなってくれますが、もし、こちらの表情が演技ではなく、本気だったら、学生たちの声はどんどん小さくなり、震え上がります。もちろん楽しんではいますが、そういうわけで、いつもニコニコと、目をキラキラ輝かせながら学生の発表を聞いています。クラスで一番目立たなかった学生が全国大会で優勝するのは、能力がなかったわけじゃなく、能力にフタをしていただけです。
言葉の傷は「記憶+感情」と結びついて、脳内で何度も再生されてしまうそうです。だから、「すごいね。声優さんみたいな発音だね」と言ってあげたほうが、絶対に良いと思うんです。
言葉の刃に斬られて、一生のトラウマを抱えている人が、想像以上に多いように感じます。励ましても励ましても、心の傷はなかなか消えません。でも、一年くらい励まし続けていたら、トラウマだったことさえ忘れてくれるので、これはもう、習慣にするしかないと思っています。
ちなみに、励ましの言葉を聞くと、脳内にオキシトシン(安心ホルモン)やセロトニン(幸福ホルモン)が分泌されて、心を癒してくれるそうです。
わたしは、冗談でも人を刺さないポジティブフィードバック文化を広めたいです。とくに、語学に関しては、真面目にやってもミスしちゃうことが多々あります。冗談という形であっても、「見下し」や「嘲笑」を含む言葉は、人の心をすり減らします。英語が苦手な日本人なら、たぶん、理解してもらえると思います。
おちょくることなく、励ましの言葉を言い続けたい。
お笑い芸人とは反対のやり方に見えるかもしれませんが、最近は他人を傷つけないお笑いもありますよね。