来月、日本語教師育成セミナーのオンライン講師を担当することになりました。
以前は授業中に学生たちがわかるように語彙や文法を上手に説明するのが日本語教師のつとめだと思われていましたが、上手に説明することが目的になってしまい、その結果、学生たちはできるようにならないし、日本語学習が好きにもなりません。笈川さんには、学生たちが「できる」ようになり、日本語学習を「好きになる」よう指導のできる日本語教師を育成してもらいたいです!という要望をいただきました。
私が30代前半の頃、これは決して冗談ではないのですが、「学生を上手にさせて意味がある?学生に日本語の勉強を好きにさせて意味がある?教え子がスピーチ大会で優勝しても意味がない。評価されるのは学生で、あなたを評価する人はいない。青は藍より出でて藍より青しと言って喜ぶのは馬鹿。これがこの世界の常識だよ」とおっしゃる方がいました。たぶん、私を思ってそうおっしゃったのかもしれません。
よくセミナーの後、若い先生が「気づきを得ました」とおっしゃいます。気づきの先に、できるかどうかという問題があって、たとえできるようになったとしても、面倒臭くて続けられるか?という問題が出てきますし、昔の部活のように、体罰やしごきといった厳しい指導を受けたせいで、そのこと自体を嫌いになってしまうという問題もありますから、常に励ます、あるいは、常に励ます準備をすることが大事だと思っています。なぜなら、励ますという行為は、多くの人が自分は大事にされていないと感じてしまいがちな現代、なおさら大事になっているように思うからです。そして、励ましこそ、学生たちに日本語学習を好きになってもらう近道ではないかと思っています。学生たちに「日本語の勉強って面白い!楽しい!ワクワクする!新しいことを知るのって快感!」という気分になってもらったら、順番が逆かもしれませんが、本当に、できるようにもわかるようにもなります。長い間、どうしたら教え子たちに日本語を好きになってもらえるかな?と考え、悩んでいましたが、その悩みが、なんだか、役に立ちそうで嬉しいです。
さて、くろしおスタジオ・スピーチライブ最新版です。どうぞご覧ください。