大連の理工系大学生向けの講演会でした。
大学受験のために日本語を学び始めた高校生たちの動機は「ラクラク高得点が取れるから!」という触れ込みを聞いたからで、たしかにはじめる動機は立派ではないかもしれませんが、これだけ学習者が増えたので、この世代の日本に対する見方は、以前のものとは、また違ったものになっていると思います。
10年前、反日デモが起きたときに、学生時代の友人から「大丈夫か?戻ってこい!」と心配してもらいましたが、のんきに日本語コンテストを開いていました。そのとき、小学生、中学生の参加者が多かったので、「ああ、心配するまでもないか」と思いました。その後、留学生も観光客もびっくりするほど増えました。本当に毛嫌いしている国なら行きたくないはずです。「爆買い」が世間を賑わした頃、電車でのおしゃべりや通話など、中国人観光客の公共マナーが指摘されましたが、親世代のマナーに憤りを感じていた中国の若者は、日本人以上に厳しい指摘をしていて、いまの中国の若者の声量はかなり小さく、コロナの影響もあって、親世代も声量を控えるようになりました。
結局なにが言いたいかというと、若い世代がこれからちゃんとやるんだし、もう、自分のようなおじさんが心配することでもないということです。たとえ、若い世代がちゃんとやらなかったとしても、それはそれで仕方がない。自分たちは偉そうに言えるようなことをやってきてないんだから、あれこれ言う資格もないだろう、ということです。
30年前、まだ学生時代に友人に「アジア人やアフリカ人の友だちに会いに行く」と話すと、たいてい「変なやつだな」と言われました。日本もノリノリの時代だったからか、アジア・アフリカは眼中になかったのかもしれません。そういえば「アウトオブ眼中」などと声高らかに叫ぶ人もいました。もしその頃、いまの日本がイメージできたなら、アジア・アフリカの皆さんに「お・も・て・な・し」ができたはずです。
自分たちはちゃんとやらなかったわりに、若い頃、「ビッグになるぞ!」と夢を語った延長で、口ばっかり達者になってしまい、恥ずかしい限りですが、いまの若い世代は、世界のどの国の人ともちゃんとやっていけると思います。
そして、自分たちは、またやり直せば良いですね。この世に手遅れなんかないのだから、いまから一歩一歩やるしかないですよね。