ふるさと創生大学講演は最終回を迎えました。
ここでは、近しい他人をおちょくらない代わりに、良いところを探して褒めて、たとえおべっかばかりだなと突っ込まれても、本音だと言い張ることの大切さについて話しました。人を褒めるというのは覚悟で、気合いだと思います。
長年、語学に関する仕事をしてきました。外国語を聞いたり話したりするのは本当に楽しいです。褒められて、励まされたら余計に頑張っちゃいます。自分の経験からいうと、ノート1ページくらいの文章は、平気で暗記できます。卵が先か鶏が先かわからないので、学生の日本語が上手かどうかわからないうちに、先に褒めて、励まします。すると、すぐに上達してくれます。半年以内にそうしないと、学生たちはたいてい自信を失い、日本語に興味が持てないまま卒業することになります。
ある一年生が「担任の先生から発音が悪いと言われました」と言って泣いていました。「そうだね」と言ってしまったら、たぶんその学生の発音は永遠に良くならないだろうし、近いうちに日本語の勉強をやめてしまうだろうと思ったので、「あなたの発音はきれいだよ。あなたもあなたの発音がきれいだと信じなさい」と話したところ、「先生だけが私の発音がきれいだって言ってくれた」と言って大泣きしていました。その後、半月くらい、文章を朗読した音声を送ってもらっているうちに、その学生の発音も、声までも美しくなって、「担任の先生からも褒められた」と言って喜んでいました。
私の仕事も趣味も学生たちに日本語授業をすることで、語学以外のことはわかりませんが、たぶん、なにごとも同じなんじゃないかって思います。ある女子に人気の友人が「どんなに地味でパッとしない女子だって、毎日きれいだ、おまえは世界一きれいだ」と言い続けていたら、本当にきれいになるぞ!と教えてくれました。これは少し大袈裟かもしれませんが、そういう理由から、平凡なタイプの人が、容姿にしても成績にしても、短期間で劇的に変わったとしても、私は驚きません。
さて、ようやく4回の講演を終えることができました。お年寄りの方々が聞きにきてくださり「毎回パワーをいただいてます」とおっしゃいます。そう言ってもらいたくて、いつも頑張っています。