オンラインが流行る前、「学生を教える大学教師の方が日本語で堂々と話せない」という声を、確かに中国各地で聞いていました。しかし、私はそれを自分の問題として認識せず、気にもとめていませんでした。オンラインが流行り出してから、日本語教師研修を担当し、多くの日本語教師と触れ合う機会が一気に増えました。そこで、「日本人教師も緊張する」という、ちょっと考えてみたら当たり前と言える状況を見て、びっくりして、やっとそれを自分の問題として考え、悩むようになりました。
新しいことに次々とチャレンジして、新しいスキルをどんどん身につけていくと、「できる自分が当たり前」になっていき、同時に、過去の「できなかった自分」の気持ちも、自分ができるということよりもっと大事なことさえも忘れてしまっていました。
できるようになった自分ができない人を見て「なぜできないの?」と思ってはいけないのに、悪気もなく、無意識にそう思っていることにも気づきました。最近、やっと自分の問題として悩むようになりました。
くろしおスタジオ・スピーチライブは、いつでも初心に帰ることができるコンテストです。普通スピーチコンテストといえば、人前で話すのが得意な、ごく一部の特別な学生のための舞台だったと思います。しかし、学習歴の浅い学習者でも参加できるコンテストの開催によって、スピーチは特別なものではないと、多くの人に知ってもらいたいと考え、このコンテストを企画しました。たった1分間でも原稿を見ないで、前を見て話すことができたら、それだけで自信がつくはずです。これからもスピーチライブを応援してください。
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