『二人一組になってください』という小説を読みました。みなさんも読みましたか?ネタバレはしませんが、テーマは『無自覚の悪意によるいじめ』でした。
証拠を残さない責任が曖昧な「空気のいじめ」は、生徒たちの心を疲弊させます。証拠がないので、先生は取り上げてくれませんが、文部科学省のガイドラインでは、「明確な証拠がなくても、本人が苦痛を感じたら『いじめ』として対応すること」が求められています。
以下は、児童精神科医の先生がお話になった「巧妙で、無自覚の悪意によるいじめポイント」です。したほうはすぐに忘れますが、されたほうは何年も忘れられないそうなので、誰にでも心当たりがあると思います。
【無視して、孤立させる】
目を合わせない。話しかけない。名前を呼ばない。あいさつを返さない。発言を無視する。相槌を打たない。存在をスルーする。話題にいれない。グループから外す。ペアを組まない。輪の中にいれない。席を遠ざける。
【SNS・オンラインでいじめ】
返事を求めても既読スルーする。グループLINEから外す。コメントを返さない。写真に載せない。すぐスクショして報告する。チャット内でスルーする。
【微妙な嫌がらせ、皮肉を言う】
わざとため息をつく。わざと舌打ちをする。皮肉な拍手をする。無表情で返す。意味ありげな笑みをこぼす。ヒソヒソ話を見せつける。話しかけたら話題を変える。言い間違いをしつこく指摘する。
【距離をとって拒絶する】
机を離す。席をずらす。一緒に並ばない。移動するときに避ける。体育やレクでパスを回さない。一緒に帰らない。写真撮影時に誘わない。話しかけようとすると離れる。近づくと空気が変わるように振る舞う。
【陰口をいう、あだ名で呼んで侮辱する】
聞こえない声の大きさで陰口をいう。聞こえる距離で小声の悪口を言う。変なあだ名をつける。外見をからかう。言い間違いをマネする。目立つ特徴を笑う。表情やしぐさをマネして笑う。変なニックネームをつけて、クラスで定着させる。裏で人格否定を繰り返す。「誰々さんって変だよね」と確認し合う。
【情報を伝えず、行動で排除する】
大事な情報を教えない。イベントの予定を伝えない。連絡網を回さない。集合場所をずらす。時間を間違えて教える。スケジュールから名前を抜く。役割分担から外す。味方を増やすための発言をする。先生の前で“いい子”を演じるが裏で無視する。「私は仲良くしたいけど…」と言って、距離を置く。グループ内で小さな噂話を流す。ささいな欠点を大げさに広める。
【態度で差別する】
笑顔の量を明らかに減らす。話す時に無表情になる。手柄を自分のものにする。言ったこととやったことを否定する。ミスをわざと大きく取り上げる。
【印象操作をする】
「悪気はないんだけど」と前置きして否定する。「みんなそう言ってたよ」と言う。
【意地悪にわざと気遣う演出をする】
「一人で平気そうだよね」と言う。「今日もひとり?」とわざと聞く。担任の先生にわざと小声で悪く報告する。「よくわからない人だよね」と言って、他人に同意を求める。好きなものを言うと、すぐ否定する。さりげなく人格に疑問を投げかけた発言をする。
【沈黙して、集団無意識を演じる】
注目しない。助けない。名前を口に出さない。空気を読んでみんなと無視する。
これはほんの一部で、ほかにも何百、何千とポイントがあるそうです。このような「空気のいじめ」をやったほうは「いじめではない」と主張することが多いそうで、対処が難しいのが特徴だそうです。ですが、継続性・排他的意図・心理的苦痛の3点を満たせば、明確ないじめになるそうですから、「巧妙で、無自覚の悪意によるいじめポイント」こそ、みんなで学んでおくべきことかもしれません。