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「相手をナメる気持ち」

今月26日に中国へ行くことになりました。その前に、書いておきたいことがあります。

「相手をナメる気持ち」が生まれると、あなたは緊張も萎縮もしないでしょう。もちろん、相手を尊敬する気持ちを持つことは大事です。でも、憧れるだけでは、その人を超えることが出来ません。だから、あなたにも、相手をナメる気持ちが必要です。ただし、あなたが相手をナメる気持ちを素直に態度や表情や言葉に出すと、相手に梯子を外され、あなたは痛い目に遭うでしょう。誰も、あなたに舐められたくないのです。あなたに舐められるとムカつくから、あなたの梯子を外します。教師は、児童生徒学生学習者(教え子にします)に舐められたら終わりだと考えているので、教え子たちに舐められない態度をとります。そこで、多くの教師は「わかるフリ、できるフリ」をして、教え子から舐められないように気を配ります。しかし、教え子たちは、教師のわかるフリとできるフリを見て、いやらしく感じるので、その時点で、教え子たちの情熱は消え、教え子も教師も成長できなくなってしまいます。そこで、一部の教師は、無意識に教え子たちに自分をナメさせます。わからないフリ、できないフリをして、教え子たちを伸ばします。また、一部の教師は、意識的に自分をナメさせます。意識的にわからないフリ、できないフリをして、普段は偉そうな態度を意識的に取らず、大事な時に、偉そうな態度を「演じ」ます。実は、若い頃、誰もがこのことに気づき、ホスピタリティを発揮し、上の立場の人に気に入ってもらったのですが、いざ自分が上の立場になると、周りが自分に気を配ってくれるので、ホスピタリティの使い所を失い、大事なことを忘れてしまいます。(相手をナメる気持ち)

私の周りにいる博士号取得者について考えてみます(私は博士課程に進みませんでしたが)。博士号は知的能力だけでは取れません。博士課程では、教授の価値観や関心を読み取る力、承認欲求の扱い方、反論せずに主張する言い回し、相手を立てながら自分の研究を通す技術、空気を壊さないホスピタリティが求められます。これは、ほとんど政治や外交に近い能力です。博士号取得者は、少なくとも一度は「下の立場として、上の立場を立てる戦略」を完璧に実行した人たちだと言えます。それにもかかわらず、多くの人は高い地位についた途端、その戦略を使わなくなります。理由の一つは、努力の記憶が変質するからです。人は地位を得ると、「自分は実力だけでここまで来た」「戦略や忖度ではない」と無意識に記憶を書き換えます。その結果、かつて使っていた配慮や戦略が見えなくなります。さらに、権力を持つと、相手を立てなくても物事が進む世界に入ります。会議は回り、成果は集まり、不機嫌でも誰かがフォローする。そのため、他人を立てる戦略を使わなくても機能するので、「戦略は不要だ」と脳が誤って学習します。本来、ホスピタリティは力を持つ側ほど必要な技術ですが、多くの場合、「下が気を遣い、上は評価するだけ」という逆転構造が定着していきます。教育現場では特に、「厳しさ=権威」「優しさ=甘え」と誤解されがちです。つまり、高い地位についた人は戦略を捨てたのではなく、戦略が見えなくなっただけなのです。そして、戦略が見えなくなった人ほど、下の立場に「努力不足」「甘い」と言いやすくなります。(他人を立てる戦略)

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